第1条(目的)
この法律は、船舶の再資源化解体の適正な実施を図り、あわせて二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、特別特定日本船舶の船舶所有者に有害物質一覧表の作成等を義務付けるとともに、特定船舶の再資源化解体の許可の制度、当該許可を受けた者による再資源化解体計画の作成及びその主務大臣による承認の制度並びに特定日本船舶の譲渡し等の承認の制度を設けること等により、船舶の再資源化解体に従事する者の安全及び健康の確保並びに生活環境の保全に資することを目的とする。
第2条(定義)
この法律において「再資源化解体」とは、船舶の全部又は一部を原材料又は部品その他製品の一部として利用することができる状態にするために行う解体(船舶の沈没若しくは乗揚げに起因して海洋が汚染され、又は汚染されるおそれがあり、当該汚染が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある場合その他やむを得ない場合において行われるものを除く。)をいう。
②この法律において「特定船舶」とは、次の各号に掲げる船舶の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める総トン数が五百トン以上の船舶(国土交通省令で定める特別の用途のものを除く。)をいう。
1.船舶のトン数の測度に関する法律(昭和五十五年法律第四十号。以下この項において「トン数法」という。)第八条第一項の国際トン数証書又は同条第七項の国際トン数確認書の交付を受けている日本船舶(船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶をいう。以下同じ。) トン数法第四条第一項の国際総トン数
2.前号に掲げる日本船舶以外の日本船舶(次号に掲げるものを除く。) トン数法第五条第一項の総トン数
3.第一号に掲げる日本船舶以外の日本船舶であってトン数法附則第三条第一項の規定の適用があるもの 同項本文の規定による総トン数
4.外国船舶(日本船舶以外の船舶をいう。次項第二号において同じ。) 国土交通省令で定める総トン数
③この法律において「特定日本船舶」とは、特定船舶であって、次に掲げるものをいう。
1.日本船舶
2.外国船舶であって、本邦の各港間又は港のみを航行するもの
④この法律において「特別特定日本船舶」とは、特定日本船舶であって、日本国領海等(日本国の内水、領海及び排他的経済水域をいう。以下同じ。)以外の水域において航行の用に供されるもの(航海の態様が特殊なものとして国土交通省令で定める船舶を除く。)をいう。
⑤この法律において「特定外国船舶」とは、特定船舶であって、特定日本船舶以外のものをいう。
⑥この法律において「有害物質一覧表」とは、船舶に使用されている材料又は設置されている設備に含まれる有害物質(船舶の再資源化解体に従事する者の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして主務大臣が定める物質をいう。次条第一項第二号及び附則第五条第三項において同じ。)の種類及び量が国土交通省令で定めるところにより記載された図書をいう。
⑦この法律において「再資源化解体業者」とは、第十条第一項の許可を受けた者をいう。
第3条(有害物質一覧表の作成及び確認)
特別特定日本船舶の船舶所有者(当該船舶が共有されている場合にあっては船舶管理人、当該船舶が貸し渡されている場合にあっては船舶借入人。第四章(第二十二条(第二十五条第二項及び第七項において準用する場合を含む。)を除く。)を除き、以下同じ。)は、次の各号のいずれかに該当するときは、有害物質一覧表を作成し、次項の規定に適合することについて、国土交通大臣の確認を受けなければならない。
1.特別特定日本船舶を初めて日本国領海等以外の水域において航行の用に供しようとするとき。
2.特別特定日本船舶について有害物質の種類又は量を変更させるものとして国土交通省令で定める改造又は修理を行ったとき。
3.次条第一項の有害物質一覧表確認証書の交付を受けた特別特定日本船舶をその有効期間満了後も日本国領海等以外の水域において航行の用に供しようとするとき。
②有害物質一覧表は、その内容が当該特別特定日本船舶の状態と一致するものでなければならない。
③第一項の確認は、特別特定日本船舶以外の日本船舶(前条第三項第二号に掲げる船舶を含む。以下同じ。)に係る有害物質一覧表についても、船舶所有者の申請によりすることができる。
第4条(有害物質一覧表確認証書)
国土交通大臣は、前条第一項の確認をしたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、有害物質一覧表確認証書を交付しなければならない。
②前項の有害物質一覧表確認証書(以下「有害物質一覧表確認証書」という。)の有効期間は、五年とする。ただし、その有効期間が満了するまでの間において国土交通省令で定める事由により前条第一項の確認(同項第三号に掲げる場合に係るものに限る。以下この条において「更新確認」という。)を受けることができなかった船舶については、国土交通大臣は、当該事由に応じて三月を超えない範囲で国土交通省令で定める日までの間、その有効期間を延長することができる。
③前項ただし書に規定する事務は、外国にあっては、日本の領事官が行う。
④行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)に定めるもののほか、領事官の行う前項の事務に係る処分又はその不作為についての審査請求に関して必要な事項は、政令で定める。
⑤更新確認の結果第一項の規定による有害物質一覧表確認証書の交付を受けることができる船舶であって、国土交通省令で定める事由により従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間が満了するまでの間において当該更新確認に係る有害物質一覧表確認証書の交付を受けることができなかったものについては、従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間は、第二項の規定にかかわらず、当該更新確認に係る有害物質一覧表確認証書が交付される日又は従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間が満了する日の翌日から起算して五月を経過する日のいずれか早い日までの期間とする。
⑥次に掲げる場合において新たに交付される有害物質一覧表確認証書の有効期間は、第二項本文の規定にかかわらず、従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間(第二号及び第三号に掲げる場合にあっては、当初の有効期間)が満了する日の翌日から起算して五年を経過する日までの期間とする。
1.従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間が満了する日前三月以内に更新確認を受けたとき。
2.第二項ただし書の規定により従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間が延長された場合において、当該延長された有効期間が満了するまでの間において更新確認を受けたとき。
3.従前の有害物質一覧表確認証書の有効期間について前項の規定の適用があったとき。
⑦第二項及び前二項の規定にかかわらず、第三十条第二項に規定する船級協会から同項の確認を受けた日本船舶がその船級の登録を抹消されたときは、当該日本船舶に交付された有害物質一覧表確認証書の有効期間は、その抹消の日に満了したものとみなす。
⑧有害物質一覧表確認証書の様式並びに交付、再交付及び書換えその他有害物質一覧表確認証書に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
第5条(特別特定日本船舶の航行)
特別特定日本船舶は、有効な有害物質一覧表確認証書の交付を受けているものでなければ、日本国領海等以外の水域において航行の用に供してはならない。
②前項の規定は、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第五条第一項の検査、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第十九条の二十六第一項の確認又は同法第十九条の三十六、第十九条の三十八、第十九条の三十九若しくは第十九条の四十一第一項の検査のために試運転を行う場合については、適用しない。
第7条(締約国の政府が発行する有害物質一覧表確認条約証書)
特別特定日本船舶(第二条第三項第二号に掲げる船舶を除く。)の船舶所有者又は船長は、条約の締約国である外国(以下単に「締約国」という。)の政府から有害物質一覧表確認条約証書(締約国の政府が条約に定める証書として船舶所有者又は船長に対し交付する書面であって、当該特別特定日本船舶の有害物質一覧表が条約に定める基準に適合することを証するものをいう。次項において同じ。)の交付を受けようとする場合には、日本の領事官を通じて申請しなければならない。
②前項の規定により交付を受けた有害物質一覧表確認条約証書は、第四条第一項の規定により国土交通大臣が交付した有害物質一覧表確認証書とみなす。この場合において、当該特別特定日本船舶の船舶所有者は、当該特別特定日本船舶の有害物質一覧表に係る第三条第一項の確認を受けたものとみなす。
第10条(再資源化解体の許可)
特定船舶の再資源化解体を行おうとする者は、特定船舶の再資源化解体の用に供する施設(以下「特定船舶再資源化解体施設」という。)ごとに、主務大臣の許可を受けなければならない。
②前項の許可を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を主務大臣に提出しなければならない。
1.氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
2.事業所の名称及び所在地
3.法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この章において同じ。)の氏名及び住所並びに政令で定める使用人があるときはその者の氏名及び住所
4.未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合にあっては、その名称及び住所、その代表者の氏名並びにその役員の氏名及び住所)
5.特定船舶再資源化解体施設の概要
6.特定船舶の再資源化解体を行う体制の概要
7.その他主務省令で定める事項
③前項の申請書には、主務省令で定めるところにより、申請者が次項第二号イからルまでのいずれにも該当しないことを誓約する書面その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
④主務大臣は、第一項の許可の申請があった場合において、その申請が次に掲げる基準に適合すると認めるときでなければ、その許可をしてはならない。
1.特定船舶再資源化解体施設、特定船舶の再資源化解体を行う体制及び申請者の能力が特定船舶の再資源化解体を適正に、かつ、継続して行うに足りるものとして主務省令で定める基準に適合すること。
2.申請者が次のイからルまでのいずれにも該当しないこと。
イ、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ロ、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ハ、この法律、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)若しくは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。ニにおいて「廃棄物処理法」という。)、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令若しくは処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二第一項、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第二条若しくは第三条の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ニ、第十五条、廃棄物処理法第七条の四若しくは第十四条の三の二(廃棄物処理法第十四条の六において準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合にあっては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
ホ、その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
へ、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下このヘにおいて「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(ヌにおいて「暴力団員等」という。)
ト、心身の故障により特定船舶の再資源化解体を適正に行うことができない者として主務省令で定めるもの
チ、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合にあっては、その役員を含む。)がイからトまでのいずれかに該当するもの
リ、法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイからトまでのいずれかに該当する者のあるもの
ヌ、法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの
ル、個人で政令で定める使用人のうちにイからトまでのいずれかに該当する者のあるもの
⑤主務大臣は、第一項の許可の申請があった場合において、不許可の処分をしたときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を当該申請者に通知しなければならない。
第11条(許可の更新)
前条第一項の許可は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
②前条第二項から第五項までの規定は、前項の更新について準用する。
③第一項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この条において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
④前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
第39条(主務大臣等)
この法律における主務大臣は、国土交通大臣、厚生労働大臣及び環境大臣とする。
②この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
附則第5条
国土交通大臣は、施行日前においても、日本船舶の船舶所有者の申請により、有害物質一覧表が第三条第二項の規定に適合することについて同条第一項の確認に相当する確認(以下「相当確認」という。)をすることができる。
②国土交通大臣は、相当確認をしたときは、当該相当確認を受けた者に対し、有害物質一覧表確認証書に相当する証書(以下「相当証書」という。)を交付しなければならない。
③国土交通大臣が相当確認をし、及び相当証書を交付したときは、当該相当確認及び当該相当証書は、施行日までの間に当該日本船舶について有害物質の種類又は量を変更させる改造又は修理を行ったことその他の国土交通省令で定める事由が生じたときを除き、施行日以後は、それぞれ国土交通大臣がした第三条第一項の確認及び交付した有害物質一覧表確認証書とみなす。この場合において、当該相当証書の有効期間の起算日は、前項の規定によりその交付をした日とする。
④第一項の申請は、施行日までの間にその申請に対する処分がされなかったときは、施行日において、第三条第一項の確認の申請とみなす。
⑤相当確認の申請書の様式その他相当確認に関し必要な事項並びに相当証書の様式並びに交付、再交付及び書換えその他相当証書に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
⑥次に掲げる者(国及び独立行政法人を除く。)は、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
1.国土交通大臣がする相当確認を受けようとする者
2.相当証書の交付を受けようとする者(次条第二項に規定する相当確認船級協会がする相当確認に係る相当証書の交付を受けようとする者に限る。)
3.相当証書の再交付又は書換えを受けようとする者